未来福音

・まず、観る機会をくれた某氏に感謝を。たぶん切っ掛けがなければ観ていませんでした。
・全体の話。キャラデザ、というか顔の描き方が武内絵にかなり近づいてて、今までのデザイン(特に瞳の描写)が苦手だった身としてはかなり助かった。斜めの絵でかなり顔の輪郭―――特に頬〜顎のラインが崩れて見えるのも、武内絵を意識してのことなんだろうと思う。横顔はどこから持ってきたのかよくわからない輪郭になってたけど。
・最初のアレ。語り部の世界観に寄り添うことのできない状態で苦悩からの脱却の過程を見せられるのはだいぶつらい。強度の低いキャラクターには興味が持てないらしい? 人間的な悩みが美しく輝くような世界ではない、と捉えている? ここらへんはうまいこと言語化できる感触がないなあ。たまに入る鮮花さんの顔芸かわいいなーと思いながら何とか遣り過した感じ。あ、カメラに寄った大粒の雪の透過具合がすごく綺麗でした。
・瀬尾静音の話。劇場版幻視同盟、とか言ってるのは僕で全国5000人目くらいかなーと思う。数字は適当。なにせ大人びた幹也の佇まいが「遠野志貴」と被るったらない。
・アーネンエルベの看板が見えた瞬間にウッヒョヒョーイと興奮し、未来視の考察を重ねる会話が始まった瞬間には完全に幻視同盟やーとテンションを上げていたのだが、シーンが続くにつれ、脳が本当に「これは幻視同盟なのだ」と誤認していくのが解り、かなりドラッギーな感じに。シーンの半ばも過ぎ去った頃には、スクリーンに歌月十夜や幻視同盟を重ねている自分がいた。途中から本当に瀬尾晶ちゃんに見えてもうだめだ感極まる。
・今作で最も好きな部分ではあった(上記したような事情もあり、これが一番ってどうなんだよとは思うが)。当初はグッズのラインナップ眺めても全く何も買う気がなかったものの、このシーンを観終えた時には静音のキーホルダーは欲しいなと思え、意気揚々と物販を訪れてみたら普通に閉まってた。レイトショーってそういうこともあるんですネー。
・しかしこう、やっぱり幹也の語りって音声化すると異常に強度が高くて気持ち悪いというかなんというか。一作目の時点で既にそんな感じで、結局ここに至るまでに慣れることも印象が覆ることもなかったし、それは声優が悪いとか演技が悪いとかいった水準の話には還元できなさそうだ。テキストであること、が黒桐幹也の台詞においては何よりも重要だったのではないか。いやまあ多かれ少なかれそうであるのだけれど、幹也のそれは圧倒的に、くらいのニュアンスで。
・ああでも、「君、少し黙れ」は絶対違うと思う。演技の水準で。話が逸れた。
ニュートラルであることの恐ろしさ。メガテンの話ではないけれど(きのこがイメージしてた可能性はあると思う)。善性の塊は何よりも恐ろしく見える、とえらい人が言ってました。
・そういえば羽ピンの原型ってどこにもいないですね。いても馴染まないとは思うけど。
・倉密メルカの話。冒頭の爆破シーンで其は恒温の最高速とか思ったのは僕で全国5000人目くらいかなーと思う。数字は適当。
・全体としてはいまいち楽しめなかった、なあ……。子供や機械を説伏することにカタルシス感じられない問題。未来をどう解釈するか、という部分は割合興味深くて、むしろ占い婆さんが喋ってるシーンの方が式の喋ってるシーンより楽しかったり。ぶっちゃけた話、根源と衝動の話がスポイルされるなら、それはらっきょでなくていいのでは? という感覚がなきにしもあらず。
・未来視は未来の奴隷だった、という転倒にメルカ本人が気付くシーンの茫漠とした爽やかさはかなり好き、だけどらっきょに求めているものではないのでアレ。そこに集約させるならまた別の構造が必要になる気がするんだよなあ。DDDの映像化はまだですかー。
両儀未那の話。イカちゃんの声だと気付けなかったので早苗さんアイコンを使う資格が消滅した。最近やっと井口裕香の声を覚えたマンだよ。
・ひたすらお嬢様キャラが活躍できない中、すごい主役オーラを醸し出す両儀未那氏。礼儀正しくて勝ち気で賢しいロリに使役されたいという願望を持つ我々としてもな。お偉いさんのとこのお嬢様に扱き使われつつ気に入られる末端のチンピラ、って構図はベタに気持ちいいのでプリズマ☆イリヤの代わりにメルカさん主役両儀未那さんヒロインでポル産アニメやればよかったんじゃねとの思い強まる。毎度毎度益体もない事件を解決していく金太郎飴的探偵アニメ。
・はい、賢いロリと無気力青年の組み合わせが好きなだけです。……といった具合に、自分の好みの回路に通して何とかなってしまう辺りになんか変なものを感じないでもない。そういうのが拒否られる方が自然だと思っていたので。
 
・映画館補正もあり、要所要所でウオォォォォアァァァァ-ッとなる場面があったのでよかった、けど全体を貫くテーマに関しては未来視の考察くらいしか好みの部分なかったなーと。アクションを要さない物語なのだから、その分空の境界としての強み―――というか、テキストでしか描写できない戦闘という弱みを見せずにいられるというアドバンテージがあった筈なのでは、と思うんだけど、割かし益体もないサスペンスで時間取られていたような印象が強く。もっともっと世界観の話をしてくれてもよかった、と思う。
・アーネンエルベでのお話くらいのクオリティで歌月の志貴と有彦がラーメン食べながら死生観の話するシーン映像化してくれたら割と現世への未練が減るので安らかに死ねそう。