『中二病でも恋がしたい! 2』/虎虎

中二病カップルなので中二病な会話をする訳だけど、恥ずかしい応酬の最中にラヴが溜まってくると中二的な返しが出てこなくて素が覗いちゃう、という流れが実にエモい。どうやって感情の高揚を文章で表現するかと考えた時、つまり「好き」をどうやって書こうかと考えた時、それまで演じていたロールが保てなくなる描写というのは非常に強いなーと思う。思考リソースが足りなくなる、いっぱいいっぱいになる、という状態の説明としては非常にわかりやすくて、しかもかわいい(重要)ので。
・楽しい会話。相手の発言を自分の論理(世界観)で再解釈、変化させまた相手に投げる、というキャッチボール。何しろ「自分は本来何者であるか」すらをも任意のタイミングで再定義可能な会話なのだから面白くないはずがない、といった感じ。何者かになりきることの快楽、みたいな話をしてたのは誰だったっけ。キャラクターとして会話することの楽しさ。
中二病であることは悪ではなく、中二病として周囲に迷惑をかけることが悪なのであり、だから親しい相手と閉じたごっこ遊びに興じる限りは問題ないのだ、という認識が森夏さんの口から語られたのは善いのでは。こういうところを外さないので読んでて心が濁らない、というのはあるなー。だからこその主人公たちへの祝福であり、当たりが柔らかくなった理由もまたそこにある。
黒歴史的なつらみも周囲との折衝に際して発生するものであり、そういう意味でも世界は優しい。善いかどうかは何ともいえないけど、敢えてつらみを読み込む根拠が見えない(蛸壺屋になりたいなら別だけど)ので、しない。摩擦係数ゼロだったら物体は彼方まで滑り続けると、そう信じたいじゃん? みたいな。
・「なんとかかんとか・連撃」みたいな名付けがテイルズっぽいなーと思ってたらその応酬の最後にエターナル・インフィニティとか言い出して噴いた。俺式ファイナルヘヴンといいカイル君といい、いちいち世代が被る。
・脱線。ファイナリティ・デッドエンドの最中に極光術発動できず死んだ人は多かろうと思う。僕もだ(話の流れ的に自動発動かと思うのが当然では……?)。
・七宮さんの強度が思ったより低くてやや驚くなど。他人と繋がること、恋人になること、を自らのロールに組み込めないことがその要因だったのかなーと朧気に。孤高であらねばならないキャラクタは、自ら契約を申し出ることができない。かなり適当言ってる。注意。