『東京皇帝☆北条恋歌』/竹井10日

 2〜4巻まで読了。
・2巻冒頭から「家の玄関でローションをぶちまけて大パニック」という酷すぎる展開で、いきなりフルスロットルだなーといった印象。ツッコミ不足でひたすらズレつつもうまいギャグを掛け合うテキストは正に竹井10日のもの。1巻はやっぱりキャラの顔見せと設定の説明に使ってたのでは、との疑念が否が応にも深まる。
・主人公の特質について語られる。自然、振る舞い自体は相変わらず流されポジションのそれであっても、行為に意味を見出すこちらの視点は大きく変質することになる。陰影を獲得した、とか言うと胡乱な上に伝わらないかもしれないけれど、そんな感覚。さりげなく淡い交感の描かれ方が好ましい、のはMarronゲーで散々実感したことだけれど、やはり堪らない。……なんかマジで1巻は布石だけ詰めたんじゃないかなーという気がするんだけど、或いは方向転換の結果かもしれないので、何とも。
・3巻。割と重い話。過去の悲劇が提示されたり、仲違いを主軸に物語が進んだり。あと夕鶴のキモウト化が留まるところを知らない。
・別離が描かれたことに驚く。そうか、そういう世界観なのか、と遅い納得。
・4巻。椿さんが全て持って行った感。報われなくとも、理解されずとも、ただ優しさと覚悟のもとに進む。眩しすぎる在り方。

 主人公の本質についてだとか、天才と非才との相互の羨望だとか、色々と面白そうなテーマが提示されてる感じ。何を主軸に持ってくるのか4巻時点でもよくわからないのよなー。
 あとまあ、北条恋歌さんマジでこわいです。ド天才。ヤバすぎ。会話のキャッチボールできてなさすぎだろ、と笑ってたら瞬きの間に首を落とされてる感じ。天然ではなく、異種。ステージが違いすぎて会話できないんじゃないの、などと適当なことを言いたくもなる。
 そんな彼女が人間になってしまうんだから恋愛って、などとまた適当に繋げることが多分可能。